奈良の仏像巡り第一日
奈良寺社巡りのためお一人さま一泊二日の旅行に出ました。またまたJR東海ツアーズの「奈良まるわかり!7大古社寺周遊の旅」です。目玉は特別公開の興福寺南円堂、北円堂の仏像群ですが、それに加えて足回りは悪いが、人気の高い室生寺、聖林寺参拝が含まれているのが大いなる魅力です。
今日はその第一日。
新横浜駅 6時34分のぞみ3号で 7時53分名古屋着、ここから添乗員付きのバスで、三重県を通り、
奈良県宇陀市 室生寺 → 桜井市 聖林寺 → 吉野郡 金峯山寺 → 奈良市内ホテル泊
を行くのが本日のコースです。
今回のツアーは参加者90名、バス2台。東京からは70名が参加しました。一人での参加は私の乗車したバスでは、女性2名、男性3名で、大半は高齢のご夫婦です。
宀一山(べんいちさん)室生寺 真言宗 創建8世紀
「女人高野」と別称される、有名な寺院です。女人禁制の高野山に対し、古くから女性の参詣を許されました。
伽藍のなかで唯一、平安期の時代が出る五重塔。高さ16メートルしかなく、日本最小の五重塔で可憐な趣の、とにかく美しい塔です。15年前台風で杉の大木が倒れかかって破壊されましたが、2年かけて復旧されました。古さでは法隆寺五重塔に次ぐといわれます。本堂そばの石段下から見上げる姿が、よくスチール写真で掲げられています。
著名な写真家 土門 拳(1909~1990)が何泊も逗留し、冬景色の室生寺のシャッターチャンスを求めた旅館「橋本屋」。山門前の太鼓橋たもとに今も健在です。
金堂中央に安置されている釈迦如来立像(9世紀、カヤ一木造、238cm)。金堂には十一面観音、文殊菩薩、薬師如来、地蔵菩薩、十二神将立像が整然と安置されていて、いずれも優美で立派です。この釈迦如来立像は衣の流れるさまが美しく、お顔は優しさよりも気高く上品さを感じます。元々は薬師如来として造られたとのことですが、どちらであっても大昔からこの鄙びた奥深い山に登り、参詣された善男善女には有り難い信仰の対象だったのでしょう、思わずこちらの居ずまいを正したくなる仏さまです。
今日は風がやや強いものの、22,23℃ほどの爽やかな、さえぎる雲の少ない晴天で室生寺の魅力を存分に堪能することができました。近くに住んでいれば、毎日でも散策がてら訪ねたくなる寺院です。
霊園山 聖林寺 真言宗 創建8世紀
真言宗室生寺派の末寺の一つですが、(無礼ながら)いざ写真を掲載しようとすると画像を選ぶのにも困るほど、私の腕では良い画像を選択できない、小さな、『可愛らしい』(バスガイドの表現)寺院です。そのお寺に、滋賀県向源寺とならぶ、十一面観音像の最高傑作が安置されているのだから不思議です。明治期の廃仏毀釈の騒動の中で三輪明神 神宮寺にあったこの像が廃棄の憂き目に遭い、聖林寺に避難されてきたといいます。その後、美術研究家フェノロサが激賞し、和辻哲郎をはじめ多くの研究家が賛美し有名になりました。
正面から拝見すると、腰のくびれが強調されていて流麗、斜め横から拝見すると意外と、分厚い胸板、肩、上腕がたくましい。十一面のうち、前頭部の像が失われている。白洲正子の十一面観音巡りの紀行文のイの一番に登場する秀作ですが、向源寺、大御堂観音寺の同じく国宝の像とは、どちらかが優れているかの評価の違いは、好みの違いかとも思えてきます。 この像は国宝ですので、コンクリートの宝蔵に厳重に収蔵されていますが、ガラス張りのなかの像に対面するのは、どこの収蔵でもそうですが、素っ気なく、残念です。本来の古くからのお堂の、薄暗い中で、人々が長い年月、手を合わせた場所で、参拝させて頂くのが、もっとも相応しく、心にしみいるような気がするのですが、文化財保護のためにはやむを得ないのでしょう。この十一面観音像にお会いするのは実に40年ぶりでした。
本日の最後の参拝は、先月訪れたばかりの奈良県吉野郡吉野町 金峯山寺です。
国軸山 金峯山寺 金峯山修験本宗 創建7世紀
吉野山を修行道場とする修験道(山伏)の総本山で、神仏習合のなかで有形の仏となって顕れた蔵王権現三躯(重文、秘仏だが、仁王門改修勧進のため公開中)を本尊とします。開基は修験の超人 役小角ですが、真言宗と結びつき、権現の姿は密教の明王そのものだと思います。
国宝の蔵王堂。この中に蔵王権現像が安置されている。しかし、先月の桜の頃の参拝に比較して、とにかく吉野山の閑散としていることに驚きました。数万人が一日に訪れた頃とは様変わりで、参道の店舗はほとんど休業、春の季節の最後はゴールデンウイークが稼ぎ時で、それを過ぎた今日は、お店は撤収、通りは歩いている人もほとんどいない。同行者のなかに、秋の紅葉シーズンのたくさんの人出の様子を知る人がいましたが、この参道の店も1年間のうちで、せじぜい2ヶ月ぐらいの短い期間で1年分を稼ぎ出すのですから、なかなか厳しい商売だと思いました。
吉野山を後に、明日香の里を通り抜け奈良市内の宿泊ホテルに向かい、今日は日程が終了です。朝は、名古屋駅から奈良へ向かう高速道路SAで三重四日市笹井屋の有名な焼き餅「永餅」を見つけ、大感動の上買い求めることができました。もう腹の中にはいってしまい画像を紹介できず、申し訳ありません。三重県桑名市の安永餅とならび有名な、平べったい、のし状のあんこの入った素朴な味の餅です。
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こんばんわ。
身の引き締まる素晴らしいツアーですね。
私は関西なの金峯山寺さんへは何度か参拝させていただきましたが
秘仏である蔵王権現様には本当に感動しました。
圧倒されますよね。
関東の方からでも多くの方が参拝に来られるのは嬉しい限りです。
いつもながら美しい画像に魅了されて思わずコメントさせていただきました。
因みに私は7月に青岸渡寺へ一泊で参拝予定です。
投稿: | 2013年5月11日 (土) 23時56分