法隆寺の秋の特別展示
昨夜、姪っ子の結婚式に出席して新神戸から京都に移動、ホテルで一夜を過ごして今日は朝から奈良法隆寺に行くことにしました。11月22日までの夢殿救世観音像の特別開扉が目的です。JR京都駅、奈良駅で乗り換え JR法隆寺まで約80分です。午前8時33分の区間快速に乗って早めに動いたのは、秋紅葉の見頃の週末で夢殿で並ぶかも知れないと危惧したからでした。
JR法隆寺駅からバスに乗りますが、バスの混み具合もさほどでなく、西院伽藍に入っても意外や意外、ゆったりです。 仏像ブームとはいえ、東京の展覧会の賑わいと違って、関西は本場だけあって押し合いへし合いはないのでしょうか。
西院伽藍の金堂、五重塔、講堂をのんびり参拝して廻り、大宝蔵院の夢違観音、百済観音(いずれも国宝)をゆっくり観て参りました。境内、大宝蔵院のそこかしこに高齢のボランティアの方がおられて、簡単な説明をしてくれるので、金魚の糞のようにかなりの参拝者がついて廻っています。中身は通り一遍のガイドで役には立ちませんが、ボランティアの方々の元気なこと。声が大きくて、聞いている人の反応はほとんどお構いなし。本当にありがたいのかどうか疑問に思いました。そういえば、東京谷中墓地でも、こうしたガイドさんが跋扈していて、地図でも眺めているとすかさずにじり寄ってきて、ガイドの押し売りの経験を思い出しました。国宝百済観音像の前では別のガイドさんが、パリに展示で出たとき、パリッ子がこの像の美しさに驚嘆してフランスに置いていくように懇願された話しを、ドヤ顔で解説していましたね。ほんまかいな、そんな与太話。法隆寺のボランティアガイドには初めて遭遇しましたが、秋の特別展のための一時的な手当なんでしょうね。あれなら、ガイドなしのほうが良いと思います。境内のあちらこちらにある紅葉が美しく、目を楽しましてくれたので不愉快になることもありませんが。
夢殿に行く前に聖霊院(聖徳太子像を祀ってあるお堂)で朱印を頂きました。特別開扉の国宝 救世観音像(飛鳥時代)は、聖徳太子を等身大に写したものとされていますが、1884年フェノロサと岡倉天心の二人に発見されるまで、法隆寺の僧侶も観たことのない白衣でぐるぐる巻きにされて放置されていた秘仏で、聖徳太子の祟りがあると言われてきた曰く付きのお像です。顔つきは小鼻のぷっくらした、大きな切れ長の目で、一見すると日本人には見えないようにお見受けします。 後背が頭部に釘で打ち付けられた異様な造作は、藤原氏によって一族を滅ぼされた聖徳太子の怨念を鎮めるためのものだとか、不思議な言い伝えがあるお像です。
救世観音にお会いするのは40年ぶりぐらいです。長時間並んででも参拝させて頂こうと思ってやって来ましたが、夢殿の回廊に立っていたのは、2、3組のカップルだけで拍子ぬけしました。お像の高さは179cm、樟一木造りに金箔。鼻、唇が厚ぼったく異形とも思われる顔相、背丈はすらっとして艶やかなお姿で両者の微妙な違いが、不思議な存在感を醸し出しておられます。隠されていた期間は数百年に渡るとされましたが、そのおかげで良い状態で保存されていたというのですから幸いでした。
法隆寺の後は、隣接する中宮寺の弥勒半跏思惟像(飛鳥時代、国宝)にお会いしてきました。仏像が大して好きではない、かみさんもこの仏さまだけはお好みのようです。京都広隆寺弥勒とならぶ飛鳥時代の代表的な弥勒菩薩ですが、中宮寺弥勒は洗練されたいかにも品の良さを感じさせて頂けます。 しかし、私は広隆寺弥勒の方が好きです。
さて中宮寺までゆっくり参拝させて頂くと、すでに正午を大きく廻っていました。法隆寺南大門前で食事をとって、すぐに京都に戻ります。教王護国寺(東寺)の講堂立体曼荼羅と、五重塔初層特別開帳に行く予定なのです。東寺の講堂の立体曼荼羅と、金堂 薬師三尊像はいつ見ても荘厳ですが、やはり京都のお寺は拝観料が高い。それにくらべ法隆寺 百済観音、救世観音の写真んど、1枚200円と破格に安いので、驚きます。
東寺境内は紅葉の樹木はさほど多くはありませんが、すっかり見頃になっていて大変綺麗でした。
今日は歩き廻って大いにくたびれ、東寺門前の御菓子司「東寺餅」(南区東寺東門前町88)で看板和菓子のその名も「東寺餅」と三色団子、栗餅を買い求めて食べ歩きました。東寺餅は柔らかな薄皮のなかのこしあんで。それが驚くほど上品な甘さで、実に美味い!こしあんの肌理の細かさは相当手がかかっているはずです。こんな素朴なあんこの餅でも、関東ではこれほど手をかけたものはできないのですが、さすが京都です。1個130円。どなたでも食べれば絶賛するはずです(一番手前が東寺餅)。間口の狭い、小さな鄙びたお店なのに、油断ならんわ、京の都は!
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