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悪性貧血(後遺症)対策

胃を全部摘出されて平均5~6年を経過すると貧血を発症します。人は造血をするためにビタミンB12を食物から取り入れることが必要ですが、そのためには胃壁にある細胞から分泌されるキャッスル内因子という糖蛋白がビタミンB12と結合して、B12を小腸内に運びそのまま小腸に吸収されるメカニズムが働くのですが、胃が失われるとその内分子が分泌されず、ビタミンB12が吸収されなくなり造血できなくなって、貧血(悪性貧血といい、昔は治療法がなく、死に至る重篤な病気とされました)になるのです。

  健康な人の肝臓には、常に微量のビタミンB12が貯蓄されていて、吸収が停止されても5年程度は支障が出ませんが、いずれビタミンB12の筋肉注射で補充することが必要になります。血液からの吸収には内因子が不要だからですが、筋肉注射は月1回から半年に1回程度の頻度で、一生必要で煩雑です。 胃全滴者には、筋肉注射しか対策方法がないとされてきたのですが、最近の研究では、多数の臨床例で、B12を大量摂取すれば経口でも必要量を確保できることが証明されて来ました。経口では1日当たり1000~2000μgを投与して2μg程度(1日当たり必要量)を摂取させるというものです。内因子なしでの吸収効率は健康な人の1、2%程度ということなのです。

ビタミンB12  1500μgとは肩こり・腰痛・筋肉痛・眼精疲労の処方のためのありふれた市販薬の適用服用量です。貧血処方薬のメチコバール1日量とも同じです。

   市販薬には、おなじみの

        武田薬品工業「アリナミンEX」

        エーザイ「ナポリンEB」

        佐藤製薬「ユンケル錠剤」

        エスエス製薬「エスファイトゴールド」

  など、多数ありますが、実販売価格が店によって大きく違うので、小まめに値段を調べて購入されることをお勧めします。ちなみに私は、「エスファイト・ゴールド240錠」を自宅近くのドラッグストアで買い求めるのを常とします。この店では定価5040円のところ、1800円弱で購入可能ですが、2000~3000円まで千差万別で注意が必要です。

私は、術後1年経過した時点から、市販薬もしくはメチコバール処方薬を欠かさず服用していて、悪性貧血をまだ発症していません。もともとビタミンB12の経口摂取が有効だと知ったのは、先輩全摘患者の体験談を読んだからでした。その方は、市販薬を服用し、筋肉注射を受けずに15年悪性貧血を発症していないというものだったのです。

悪性貧血は血液検査で、赤血球容積量あるいは血清中ビタミンB12濃度を調べれば簡単に分かります。服用を開始して、私の血清中ビタミン濃度はしばしば通常値上限を超過しています。ビタミンB群は、過剰摂取しても尿や便で体外排出されるので、副作用の心配はないとされています。

胃を摘出されると、栄養分の吸収力が落ちて、体重もガツンと落ちて体力が低下しまいます。ビタミン剤、ミネラルを補助的に摂取することは珍しくないと思いますが、全摘出の方は、主治医にも確認されたうえで、貧血予防のためにビタミンB12錠剤を服用されてはどうかとお勧めします。 また、興味深いことですが、ビタミンB12は、帯状疱疹後神経痛予防薬として適用されたり、いくつかの研究では大量摂取は老人性痴呆の進行を遅らせる効果があると発表されています。